はと麦茶がむくみ解消やイボ取りに良いと言われますが、むくみとイボって全然違いますよね?
何でハトムギにそんな効果があるのか、色々疑問がわいたのであらためて調べてみました。
調べてみて分かったのは、ハトムギのすごさだったので、紹介したくてまとめてみました。
はと麦茶のハト麦って何だろう?
実は麦じゃない!はと麦はイネ科の植物
はと麦と言う名前ですが、小麦の仲間ではなくて、お米の仲間。イネ科の植物なんです。
17世紀に中国から薬用として渡来したものが、栽培されるようになったそうです。
はと麦の名前の由来は、鳩が好んで食べたからということで、明治以降そう呼ばれるようになりましたが、それまでは四石麦(四国麦)と呼ばれていたそうです。
はと麦茶はこんなお茶
はと麦茶は、ハトムギの果実を、皮付きのまま焙じたものがはと麦茶です。
この皮を取り除くと、薏苡仁(ヨクイニン)という生薬になりますが、それについては後で詳しく説明します。
自宅でできる?ハトムギの栽培事情
ハトムギを植木鉢などで家庭で栽培するのは比較的簡単にできるようです。
5月に種をまき、収穫は10月ごろになります。
※『NHK趣味の園芸ビギナーズ』2014年4〜6月より
一方、農業としてのハト麦の生産は、一時は下火になっていたものの、2007年頃からの雑穀ブームの追い風を受けて生産が再開されるようになっています。
※鳥取県農林総合研究所「鳥取県ハトムギ栽培マニュアル」より
はと麦の栄養成分
健康食品のパッケージには、ビタミンB2、マグネシウム、マンガンなどを含みますが、特別多くありません。
精米した白米と同じか、栄養素によっては白米の方が多いくらいです。
きっと何か他の秘密があるのでしょう。
もっと詳しく調べます。
小麦アレルギーは大丈夫?
イネ科の植物なので、小麦アレルギーのある方でもハトムギ自体にアナフィラキシーを起こすことはありません。
しかし、小麦や大麦類と同じ工場で加工されている可能性があるため、混入(コンタミネーション)のリスクはあるようです。
逆に、イネ科アレルギーのある方は、麦だと思って摂取しないように注意が必要です。
食べたことあるかも!?料理にも使われるはと麦
はと麦茶として有名なので、お茶用なのかな?と思いがちですが、食べるともちもちとした独特の食感が楽しくて、私は好きです。
よく雑穀米の中にブレンドされていますが、全ての商品というわけではありません。
上の画像のように、わが家で食べている雑穀の中にも入っています。
興味のある方は探してみて下さい!
ヨクイニンって何?ハトムギ=ヨクイニン?作用と効果は?
ヨクイニンはハトムギの生薬名
ヨクイニンというのは、はと麦の成熟した果実の殻と薄皮を除去して精白したもののことで、漢方薬の原料となる生薬の名前でもあります。
ヨクイニンはイボ取りの妙薬。だからはと麦茶もイボ取りにおすすめ
ヨクイニンがイボに良く効くことは広く知られていて、民間薬としてヨクイニンを飲む方も多くいます。
また、イボが出来やすい人にはと麦茶を普段から習慣的に飲むことはお勧めです。
イボができると、ヨクイニンのお粥を毎日1か月食べると良いともいわれています。
利尿作用
ヨクイニンには、利尿作用があって、余分な水分を排出するのでむくみに有効です。
はと麦茶も同様に利尿作用があるため、むくみのある方は日常的に飲んでも良いでしょう。
炎症を抑える作用と鎮痛効果
皮膚の炎症がある時に用いられるヨクイニンは、神経痛や筋肉痛の鎮痛剤としても利用されます。
排膿作用
ニキビにも用いられるのは、炎症作用と排膿作用がニキビの改善に有効だからです。
漢方では、血の流れが悪くて老廃物が溜まり、熱を持った状態に対して、熱を冷まして排膿する作用があるとされています。
この作用があるから、男女ともに有効だけれど、特に女性の月経前の肌荒れに有効とされるんですね。
抗酸化作用
美肌効果に結び付く抗酸化作用は、主にNK細胞を活性化させて細胞の免疫を高めることによって行われます。
漢方でのハトムギの使われ方
ヨクイニンには、余分な水分を排出して、熱を鎮める作用があります。
その結果として、先ほど紹介したような効果が得られるのですが、先ほど紹介した作用を、東洋医学的な言葉に置き換えるとこうなります。
利尿作用→利水滲湿
抗炎症、鎮痛作用→健脾除湿
排膿作用→清熱解毒
抗酸化作用→???消炎と排膿を合わせた作用なので、これに相当する言葉はみつかりませんでした。
漢方薬としてのヨクイニン
ヨクイニンも漢方なの?と思う方もいるかもしれませんね。
実際には、ヨクイニンは単独では漢方薬とは呼ばれません。
他の生薬も同じですが、様々な生薬は、他の生薬と混ぜることで漢方薬となります。
ヨクイニンが入った代表的な漢方を紹介しましょう。
皮膚疾患がある場合に、基本の漢方処方にヨクイニンを加えることが多いようです。
桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)
皮膚科領域で用いられるヨクイニンを用いた漢方の処方で有名なのが、桂枝茯苓丸加薏苡仁です。
ちょっとややこしいですが「桂枝茯苓丸」という漢方処方に「加」加える「薏苡仁」ヨクイニンというわけです。
ヨクイニンの抗酸化作用で炎症や細胞膜に障害を起こしやすくなっている状態を鎮める目的で使われます。
男女ともに有効ですが、女性のか月経前に皮膚症状が悪化する場合に特に有効です。
薏苡仁湯(よくいにんとう)
薏苡仁湯は筋肉痛、関節痛などに用いられる。
ヨクイニンが名前についているので、イボやむくみのための処方なのかと思ったら、意外にも痛みを鎮めるための薬ですね。
これは、水分が停滞することで関節に痛みが起こっている場合に、利水滲湿の作用によって水の流れを改善して痛みが引くという漢方の考えによるものです。
麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)
関節痛、神経痛、筋肉痛で、むくみ、イボのあるもの。
時に水虫にも有効とあります。
はと麦VSイボ イボは取れるの?それとも消える?
イボは、取れるようになくなることもあれば、消える様になくなることもあり、どちらの表現もありえます。
はと麦(ヨクイニン)とイボの関係を掘り下げてみます。
そもそもイボって何?
一般的にイボと言った場合には、ウイルスが感染してできるイボであることが多いです。
「イボ」というのは小さな出来物を指す俗語で、本当の病名は細かくわかれています。
それら全てひっくるめて、私たちはイボと呼んでいるんですね。
イボの原因として一番多いのがウイルスですが、そのウィルスには見つかっているだけで150種類以上の型があって、その型によってできるイボの見た目は違ってくるそうです。
ワクチンの接種で注目されている、子宮頸癌の原因となるHPV16型も、このウイルスの型の1つです。
だからといって、普通のイボが癌になるという心配は基本的には必要ないようですから、安心してください。
なぜはと麦がイボに効くの?
イボにはと麦(ヨクイニン)が聞く理由として、抗潰瘍性成分のコイクセノライドが含まれていることが言われていますが、研究段階となっています。
漢方の考えでは、皮膚の表面よりも少し深い部分の水分を取り去る薬として知られていて、皮膚表面はむしろ乾燥して、水分が低下しているような状態が適応ともいわれます。
また、瘀血による皮膚の荒れやニキビに有効とされるので、(東洋医学的な)血の流れの改善が良い場合もあるでしょう。
とはいえ、妙薬というのは、原因は分からないけど、兎に角効果があるというものですから、あまり深く考えすぎない方が良いのかもしれません。
皮膚科でのイボ治療
日本皮膚科学会のホームページによると、ヨクイニン服用療法と、液体窒素による冷凍凝固療法、電気焼灼療法や保険適応外の薬を用いた治療法など様々あるようです。
多くの場合、一回の治療で治すことは難しいようですが、繰り返し治療してやっと治る人もいれば、無数にあったイボがあっという間に消えるということもあるのだとか。
治りにくく、再発することも多い病気ですが、皮膚科医と2人3脚で焦らず、根気よく治療してくださいとのことです。
妊婦や赤ちゃんにハトムギはOK?
妊娠中・授乳中は過剰な摂取は避けましょう
妊婦さんも授乳中のお母さんも、過剰に食べたり飲んだりすることは避けましょう。
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のサイト、【「健康食品」の安全性・有効性情報】には
『子宮収縮を促進する可能性があるため、妊娠中は摂取を避ける。また、授乳中の安全性は信頼できる十分な情報が見当たらないため、摂取は避ける。』
とあります。
知らなかった人も慌てないで
ここまで読むと、妊婦さんで、知らずにハトムギ摂取をしていた方は心配になってしまうと思いますが、安心してください。
妊娠中にこれらの医薬品や食品を飲み続けることで流産とか早産、赤ちゃんの奇形などが発症したという報告は無いようです。
ひとまず落ち着いて、かかりつけの医師に報告し、相談するようにしましょう。
神経質になりすぎなくても大丈夫
これらの情報の根拠となる論文は、ハトムギ種子抽出物の安全性について言及しているものなので、ペットボトルなどで売られているブレンド茶まで神経質に避ける必要はないと思います。
とはいえ、そうしたことに過敏になっている妊婦さんでは、無理に飲んだり食べたりする必要は無いでしょう。
ヨクイニン製剤はなるべく避けましょう
もしも妊婦さんがハトムギ抽出エキスであるヨクイニン製剤を飲む場合は、必ず産婦人科の医師の管理の下で行いましょう。
また、ハトムギの栄養補助食品、サプリメントも妊娠中は服用を中止したほうが良いでしょう。どうしてもという場合はやはり、必ず医師と相談してください。
はと麦は化粧品にも使われている
これまでハトムギについて調べてみると、確かに肌荒れを鎮めたり、肌の炎症を鎮めたりする効果がありましたが、全て飲んだり食べたりするものでした。
でも最近、ハトムギの化粧水など、肌に直接使う商品が増えてきています。
その効果についても調べてみました。
はと麦茶の美肌効果について
はと麦のエキスは保湿作用や美白作用があるとされていて、ハトムギエキスが配合されている基礎化粧品も多いです。
しかし、ハトムギの保湿作用に関する論文資料は見つけられませんでした。
アミノ酸の含有量が高いことをうたう商品もある
ハトムギエキス配合で有名なナチュリエのホームページを見てみました。
ハトムギエキスに含まれる12種類のアミノ酸が皮膚の天然保湿因子を構成する成分らしいので、アミノ酸の量を調べてみました。
確かにアミノ酸はとても多く含まれているようです。
ハトムギエキスによってアミノ酸を補給できることで水分を蓄えやすい肌にしてくれるのですね。
まとめ
飲んでも食べても、水分の代謝を整え、肌の調子を整え、炎症を抑え、老廃物を排除する作用はとても高いことがわかりましたね。
上手く食生活に取り入れることで、意識せずにむくみ解消や美肌の維持をすることが出来そうです。
気軽に取り入れられるはと麦茶からでも、ぜひ始めてみて下さい!
参考
『活用自在の処方解説』2009年4月30日第1版第1刷発行 株)ライフ・サイエンス
『漢方と診療』Vol.4 2014年1月15日発行 東洋学術出版社
『漢方と診療』Vol.8 2017年7月30日発行 東洋学術出版社
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