むくみをとる漢方「当帰芍薬散」が合うのはどんな人?むくみの原因、効能、副作用といっしょに解説

市販されている漢方薬でむくみ解消に効果のあるものはいくつかあります。

中でも、当帰芍薬散は婦人科でよく使われる、むくみ解消の代表的な漢方薬です。

自分に合っている漢方は、症状や体質との組み合わせで選びますので、当帰芍薬散がどんな人に適しているかを、原因や効果効能といっしょに、わかりやすく説明します。

 

当帰芍薬散ってどんな薬なの?効果について解説

当帰芍薬散はとっても複雑な症状に対応できる優れた漢方薬の一つで、婦人科の諸症状に良く使用されます。

芍薬(しゃくやく)、当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)
白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)

の6種類の生薬で出来ています。

聞きなれない言葉が出てきますが、言葉を覚えなくても分かるように説明しています。

また、この説明は中医学にもとづくものです。西洋医学の考え方を当てはめると、???となってしまうので、理屈については「そういうものなんだなぁ」くらいに読んでいただくと良いでしょう。

 

当帰芍薬散が有効な人のむくみの原因

当帰芍薬散が有効なむくみの原因を中医学的に簡単に言うとこうなります。

肝の血が不足して、肝鬱になり、肝鬱が瘀血を伴う脾虚を生じ、それによって湿滞となる。

この湿滞となったことで生じるのが、むくみです。

それでは、当帰芍薬散がこの原因と症状にどのように作用するのか見てみましょう。

 

 

むくみの根本原因を解消する当帰と芍薬の組み合わせ

当帰と芍薬が組み合わさると、血を補う作用が働きます。

他の漢方薬でも使われる組み合わせです。

このタイプのむくみが肝の血不足から始まっているので、当帰と芍薬がこの症状の根本原因を治療する成分です。

 

 

月経不順と生理痛を改善する芍薬と川芎の組み合わせ

芍薬と川芎の組み合わせが、肝鬱を改善し、瘀血を治療します。

肝鬱と瘀血が原因となって起こる症状は、月経不順と生理痛です。

つまり、芍薬と川芎の組み合わせによって、月経不順と生理痛を改善します。

この場合の月経不順と生理痛の特徴は、この後の症状の特徴で詳しく紹介します。

 

 

むくみに直接作用する!白朮・茯苓・沢瀉の組み合わせ

当帰芍薬散のむくみに直接作用する成分は、白朮、茯苓、沢瀉の組み合わせです。

この3つが組み合わさることで、脾を補いながら滞った湿を流すという効果があります。

この、滞った湿を流すという部分が、むくみを解消するということですね。

具体的にどう解消するかというと、利尿作用によってで、回数が増えるよりも一回当たりの量を増やすという特徴があります。

詳しくは症状のところでお話しします。

 

 

 

当帰芍薬散が合うのはこんな人!症状と特徴(むくみ以外)

漢方薬の合う人合わない人というのは、西洋医学的な薬に比べると複雑です。

当帰芍薬散も、非常によく用いられる漢方ですが、当然合わない人もいます。

先に、どんな症状や特徴のある人に当帰芍薬散が合うのか説明しましょう。

 

当帰芍薬散が合う人の月経不順と生理痛の特徴

当帰芍薬散が合う人の月経不順とは、月経周期の乱れと経血の量の乱れです。

周期が長かったり短かったりと不定期なものと、経血の量が多かったり少なかったりするものを指します。
中には経血の中に黒い塊が混じることもあります。

 

生理痛は、下腹部の痛みです。おへそより下の、真ん中の痛みと、左右の脇の痛みのどちらの場合も含みます。

 

 

当帰芍薬散が合う人の冷えの特徴

当帰芍薬散のパッケージを見ると、効能には必ず「冷え」とか「冷え症」と書いてあります。

冷え症にもさまざまなタイプがあり、全身が冷えたり、ストレスで冷えを感じたり、下半身が冷えたりとありますが、当帰芍薬散が合う人の冷えのタイプは、手や足先が冷えるタイプです。

「本人は寒いと感じてないけれど、他の人が手足を触るととても冷たい」という特徴です。

 

 

当帰芍薬散が合う人は頻尿気味?おしっこの回数や量について

当帰芍薬散が合う人のむくみは、肝鬱がもたらす排尿故障が原因です。

この場合の排尿故障は、トイレの回数は多いけれど、一回当たりの量が少ないタイプで、いわゆる頻尿と言ってよいでしょう。

だから、当帰芍薬散を飲むと、一回当たりの量が増えます。

もともと回数が多いと感じている人にとって「更に回数が増えるのは困る」という心配があるかもしれませんが、当帰芍薬散は回数よりも一回当たりの量を増やす効果があるので、更にトイレの回数が増える心配は少なくて良いでしょう。

 

 

当帰芍薬散が合う人のそのほかの特徴:顔色、疲れ、食欲、シミ、クマ

皮膚につやが無く、白っぽくて乾燥気味の肌をしているという特徴があります。

これは、瘀血の症状です。

目の周りのクマやしみが出やすいというものがありますので、30代から40代でクマやシミが気になる人は当帰芍薬散で改善が期待できます。

脾虚になると、食欲不振や疲れやすいなどの症状が出ます。

 

 

肩こり、頭重、めまい症状はめったにない

肩こり、頭重、めまいといった症状は、市販の当帰芍薬散のパッケージに書いてありますが、これらの症状が出ることは少ないです。

もちろん無いわけではありませんが、一つ上の、顔色が悪く、疲れやすいとか、冷えなどの症状が進行した場合に出てくることがあるかもしれない程度で、メインの症状ではありません。

これらの症状が無いからと言って、自分が当帰芍薬散の対象ではないと思う必要はありません。

 

 

 

当帰芍薬散が合う人のむくみ以外の特徴まとめ

1:月経の周期と量の乱れ

2:生理痛

3:手足が冷たくなるけれど、夏でも寒さを感じるような冷えではない。

4:頻尿気味だけれど、一回の尿量が少ない。

5:食欲不振で疲れやすい

6:皮膚につやが無く目の周りにクマが出来やすい。

7:肩こり、頭重、めまいは無い人が多い

 

 

 

当帰芍薬散が合わない人の特徴と理由

漢方薬は自然な効果で副作用なく飲めるようなイメージがありますが、合わない人が飲むと症状を悪化させてしまうこともあります。

合わない人に当てはまる場合は飲むのを控えましょう。当てはまるかもしれないな?と思うひとは、体の変化に注意して、異常を感じたらすぐに中止しましょう。

 

合わない理由は当帰芍薬散の成分構成

当帰芍薬散の生薬には、温熱のものが多く、清熱する作用のものが含まれていません。

だから、体の中に熱がこもった状態の人が飲むと、更に体に熱が溜まり、良くないんです。

 

 

こんな人は飲まないで!当帰芍薬散が合わない人に見られる症状

中医学では、体に熱がこもっている場合の症状として黄色っぽくなるという特徴があります。

 

1:ベロの色が黄色っぽい

鏡で自分のベロを見てみて、黄色っぽいと思ったら、飲んではいけません。

体の中に熱がこもった状態では、舌の表面が黄色っぽくなります。

このような状態を黄膩苔(おうじたい)と言います。

当帰芍薬散が有効な人のベロの色は、白膩苔という状態で、舌の表面が白っぽい状態です。

 

2:おしっこの色がとても濃い

おしっこが濃いというと、黄色っぽい色を想像してしまうので、あえてとても濃いとひょうげんしましたが、色の目安としては、烏龍茶くらい濃い状態です。

これもやはり、熱が溜まっているときの特徴です。

 

3:飲んてみたら熱症状が出現した

熱症状が強くなると良くないので、飲んだ結果、熱いと感じたり、汗をかいたりする場合も服用を見合わせた方が良いかもしれません。

 

 

 

まとめ

肝の血が不足したことによって起こるむくみに有効なのが当帰芍薬散です。

血がかかわることなので、婦人科の症状と関係が深くなるんですね。

血を補うことは、皮膚や筋肉、髪の毛を潤し、心の不安にも良いとされます。

当帰芍薬散が合う人の特徴に思い当たるところがあったら、試してみるとよいですよ。

 

 

 

コメント