先日、食品産業新聞社ニュースで「大豆ミートも肉の日デビュー記念イベント」が開催されたと報じられていました。「畑の肉」と言われてきた大豆が、牛、豚、鶏に次ぐ第4の肉、大豆ミートとして定着していくかもしれません。
非常に話題になっている大豆ミートですが、知らないことはまだまだ多いのではないでしょうか。
そこで、畑の肉から生まれた大豆ミートについて分かりやすく説明したいと思います。
そして、栄養成分を、本物の肉と比べてみました。
大豆ミートを使えば、動物性の肉を食べる機会を減らして、脂質やコレステロールの摂取量をうまく減らす事ができるかもしれません。
大豆ミートって何?
「大豆ミート」というのは呼び名であって、正式名称ではないようです。
大豆ミートとはどういう食材なのか、見ていきましょう。
大豆ミートは脱脂大豆加工食品
大豆ミートの代表格と言っても良い、マルコメ株式会社の商品「大豆の肉」の名称には、脱脂大豆加工品と書かれていて、原材料名は脱脂大豆(遺伝子組み換えでない)と書いてあります。
つまり、大豆ミートとは、脱脂大豆を肉のような食感や香りなどに加工した食材です。
「大豆の肉」の原材料は、脱脂大豆の他に醤油が使われています。
脱脂大豆とは
大豆は、乾燥大豆で21.7%の脂質を含んでいて、33%がたん白質です。
その大豆から大豆油を抽出したものが脱脂大豆です。
脱脂大豆は、製法や形状のちがいで、粉末状、繊維状、粒状に分かれます。
この粒状大豆たん白が大豆ミートの材料にあたります。
粉末状大豆たん白は、主に糖類や灰分を除去したものを「濃縮大豆たん白」たん白質のみを分離したものを「分離大豆たん白」として区別されます。
おからとは違うの?
おからとの大きな違いは、おからは脱脂されていないということです。
おからの製造工程はこうです。
大豆を水に漬ける→柔らかくなった大豆をすり潰す→煮る→絞って豆乳とおからに分ける
栄養成分表を見ると、脂質は少ないように見えるのですが、水分を多く含んでいるせいで、100gあたりの脂質が少なく見えているだけです。
脂質とたん白質の割合を見ると、元の大豆と同じ割合で脂質を含んでいることが分かります。
水分 | 脂質 | たん白質 | |
大豆(国産・乾) | 12.4g | 19.7g | 33.8g |
おから(生) | 75.5g | 3.6g | 6.1g |
(重量100gあたり:出典・食品成分データベース)
そのまま食べると
本来は水でもどして食べるのですが、そのまま食べてみました。
カリカリとした食感に、ほんのりと大豆の香りがしました。
大豆ミートの製造工程
製造はエクストルーダという特殊な機械で行われます。
この機械のなかで、材料である脱脂大豆粉を水と混ぜながら加熱、加圧しながら、前方に押し出され、大豆粉のたんぱく質が繊維化します。
機械から押し出された瞬間に、圧力から解放されて一気に膨らむことで、繊維質が膨らんで、肉のような食感となります。
その後、乾燥をさせると大豆ミートが出来上がります。
明治のスナック菓子のカールと同じ製造方法というと、テレビなどでみたことがある人も多いのではないでしょうか。今はもう東日本での販売が終了しているので、私は見ることが無くなってしまいました。
カリウムだけじゃない!ほかの大豆製品同様、豊富な栄養成分量
大豆ミートの栄養成分量を他の大豆製品と比べてみました。
栄養素の種類は同じ
材料の大もとは大豆ですから、油を取り除いているものの、水しか加えていない大豆ミートは、含まれる栄養素の種類は大豆と同じです。
カリウムは1回の食事量で比べるとトップ
大豆といえばカリウムが豊富で、大豆加工食品はどれもカリウムが豊富ですが、1回あたりの食事で取る量としては、トップクラスのカリウム含有量です。
大豆ミートと他の大豆製品の栄養成分量を比べてみた
エネルギー | 水分 | たん白質 | 脂質 | 炭水化物 | カリウム | カルシウム | 食物繊維 | アミノ酸 | |
粒状大豆たん白 | 318kcal | 7.8g | 46.3g | 3.0g | 36.7g | 2400mg | 270mg | 17.8g | 51g |
大豆 | 372kal | 12.4g | 33.8g | 19.7g | 29.5g | 1900mg | 180mg | 21.5g | 38g |
豆腐(絹 | 56kal | 88.5g | 5.3g | 3.5g | 2.0g | 150mg | 75mg | 0.9g | 6.2g |
生揚げ | 143kal | 75.9g | 10.7g | 11.3g | 0.9g | 120mg | 240mg | 0.7g | 12g |
油あげ | 377kal | 39.9 | 23.4g | 34.4g | 0.4g | 86mg | 310mg | 1.3g | 27g |
納豆 | 190kal | 59.5g | 16.5g | 10.0g | 12.1g | 660mg | 90mg | 6.7g | 17g |
おから | 88kal | 75.5g | 6.1g | 3.6g | 13.8g | 350mg | 81mg | 11.5g | 6.3g |
(重量100gあたり:食品成分データベースより)
大豆ミートと肉の違い
大豆ミートは代用肉なんて呼ばれたりしますが、栄養としてはどんな違いがあるのでしょうか。
大豆ミートには動物性成分は含まれない
大豆が原料の大豆ミートは、100%植物性のたんぱく質がとれる食材です。
当然動物性成分は含まれていません。
卵やはちみつですら口にしないヴィーガンでも食べられますが、同じ工場で動物性食品の加工を行っている場合もあり、混入の可能性が0ではないことから、ヴィーガンの方にはヴィーガン食品専用工場で作られた大豆ミートを選ぶ必要があるようです。
脂質の摂取量をコントロールできる
動物性たんぱく質を摂取するには、同時に必ず動物性脂肪を摂取することになりますが。
大豆ミートも、原料が脱脂大豆とはいえ、脂質はわずかながら含まれている状態です。
脂質の摂取量をコントロールできるというメリットが大豆ミートにはあります。
大豆ミートと牛肉の栄養の違い
大豆ミートは脂質がほとんど無いので、牛肉はひれ肉の成分と比較しました。
大豆ミートは水で戻すと3倍に増えることから、牛、豚、鶏の表すべて、33gあたりの成分量を表示しています。
エネルギー | 水分 | たん白質 | 脂質 | 炭水化物 | カリウム | カルシウム | コレステロール | アミノ酸 | |
粒状大豆たん白 | 105kcal | 2.6g | 15.3g | 1.0g | 12.1g | 790mg | 89mg | 0 | 51g |
牛ひれ肉 | 207kcal | 64.6g | 19.1g | 15.0g | 0.3g | 340mg | 3mg | 66mg | 19g |
大豆ミートと豚肉の栄養の違い
豚肉も、脂身の少ないひれ肉で比較しています。
エネルギー | 水分 | たん白質 | 脂質 | 炭水化物 | カリウム | カルシウム | コレステロール | アミノ酸 | |
粒状大豆たん白 | 105kcal | 2.6g | 15.3g | 1.0g | 12.1g | 790mg | 89mg | 0 | 51g |
豚ひれ肉 | 118kcal | 73.4g | 22.2g | 3.7g | 0.3g | 430mg | 3mg | 59mg | 21g |
大豆ミートと鶏肉の栄養の違い
鶏肉は、脂身の少ない胸肉で、皮を含まない栄養成分量を表示しています。
エネルギー | 水分 | たん白質 | 脂質 | 炭水化物 | カリウム | カルシウム | コレステロール | アミノ酸 | |
粒状大豆たん白 | 105kcal | 2.6g | 15.3g | 1.0g | 12.1g | 790mg | 89mg | 0 | 51g |
鶏むね皮なし | 113kcal | 72.8g | 24.4g | 1.9g | 0 | 210mg | 5mg | 73mg | 23g |
まとめ
大豆ミートは、大豆食品の優れた栄養バランスの特徴を持ちつつ、肉を食べたように感じられます。
肉が好きな人でも、大豆ミートなら、魚や豆腐よりもはるかに楽に、食事の肉を置き換えることができるはずです。
普段の食事の肉を大豆ミートに置き換える事ができれば、動物性脂肪やコレステロールを減らせて、血液中の中性脂肪やコレステロールを下げる事が期待できます。
血中の脂肪やコレステロールを減らし、血管への負荷を減らして、血流をよくすることは、むくみにくい体質づくりに役立つことでしょう。
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