五苓散がむくみに効くのはどんな人?二日酔や頭痛、めまいに使うときは要注意

市販されている漢方薬で、当帰芍薬散とならんで有名な五苓散。

漢方薬というと、副作用の少ないイメージがありますが、症状や体質との相性が大切で、合わないものを飲むと症状の悪化だけでは済まない場合もあります。

五苓散ががどんな人に適しているか、飲んではいけないのはどんな場合かを、原因や効果効能といっしょに、わかりやすく説明します。

 

五苓散ってどんな漢方?

五苓散はその名の通り、5種類の生薬が組み合わさって作られた漢方です。

胃と脾の気を補いながら水分を抜くという2つの作用を目的としたシンプルな処方。

 

五苓散の成分の組み合わせと作用

五苓散は、桂皮(桂枝)・茯苓・白朮または蒼朮・猪苓・沢瀉の5種類の生薬が組み合わさっています。

  • 桂皮:利尿作用
  • 茯苓+白朮(蒼朮):脾と胃の気を補う
  • 猪苓+沢瀉:溜まった水分を強力に抜く

 

桂皮と桂枝の違いは?

中国ではこの2つは使い分けられているらしく、桂枝の方が利尿作用が強く、桂皮の方が温める作用が強いとされています。

しかし、日本ではこの2つを使い分けることはほとんどなく、桂皮も桂枝も同じものとして、桂皮という名称が用いられています。

Studies on Cortex Cinnamomii and Ramulus Cinnamomii
Access full-text academic articles: J-STAGE is an online platform for Japanese academic journals.

 

白朮と蒼朮の違いは?

白朮と蒼朮は、製薬会社や商品によって使われている物が違います。

ツムラでは必ず蒼朮が使われていて、クラシエでは顆粒タイプでは白朮が使われて、錠剤では蒼朮が使われているという特徴があります。

中医学では、作用の違いとして白朮の方が利尿作用が強く、蒼朮は弱いという風にも言われます。

 

白朮または蒼朮意外の成分を同じにした五苓散で、白朮と蒼朮の効果の違いを検証した実験があります。

その論文では、白朮では水分を多くとると利尿作用が高まり、水分が不足している人では利尿作用が弱まるけれど、蒼朮では水分が不足している人の場合も利尿作用が弱まらないという結果が報告されています。
つまり、白朮は水分をコントロールする作用があり、蒼朮では一方的に排出するというふうに理解できます。

蒼朮五苓散と白朮五苓散の薬理作用の比較検討 : 利水作用を中心として | CiNii Research
We studied the differences between Soujutsu-Goreisan and Byakujutsu-Goreisan using several pharmacological experimental procedures. (Soujutsu consisted of Souju...

 

 

五苓散の効果がある人はこんな症状のある人

脾と胃の陽気が不足することで体の中央に水分が溜まり、むくみの他以下のような症状があらわれます。

  • 尿意はあるけれど、おしっこをしてもチョチョロとしか出ずにスッキリと出し切ることができない。
  • のどが渇くけれど、水を飲むと気分が悪くなる。
  • 水様性の下痢をするが、臭くなくにおわない。
  • 水っぽい痰がでる。つばよりも濃度があるが痰にしては薄く、白く泡っぽいもの。

 

要注意!二日酔い・めまい・頭痛に効果もこんな人は飲んじゃダメ

五苓散は、脾胃の陽気の不足によって、水分が抜けきれずに溜まったせいで症状が起こった場合に有効です。

 

二日酔いやめまい、頭痛もそれが原因で起こることがあるのですが、症状の特徴が合っていなければそれらの症状の治療には不向きです。

 

二日酔いなら、ビールやお酒を飲んでも尿が出ない人のひどい二日酔いに対して五苓散で水分を抜いてあげると楽になるという作用です。

頭痛やめまいも、水分が体の中央にたまっていて、めぐりを悪くしているせいで起こっている物に対しては五苓散が有効で、そのような場合には、のどが渇いて水を飲むと、症状が悪化したり気分が悪くなり吐いてしまったりします。

このように、水分の停滞が原因で起こる症状に対しては有効ですが、そうではない場合には、めまいや頭痛に対しても治療には不向きと言えます。

 

 

 

市販の五苓散

五苓散として販売されている物や、効果効能から商品名がついているものまでさまざまあります。

成分では蒼朮と白朮という違いがありますが、白朮を使用している物は「クラシエ」漢方五苓散顆粒と、「テイラック(小林製薬)」「アルピタン(小林製薬)」です。
同じクラシエでも、錠剤のタイプ「クラシエ五苓散錠」は蒼朮を使用しています。

 

おもしろいのは小林製薬の「ライラック」と「アルピタン」です。

ライラックは、低気圧による不調や頭痛のための漢方とされていて、アルピタンは、アルコールによる頭痛や二日酔いのための漢方として販売されていますが、どちらも同じ五苓散で同じ成分、同じ成分量です。

違いは、ライラックが顆粒で、アルピタンが錠剤というところ。

希望小売価格も、どちらも2日分が1,000円で同じです。

では主な市販の五苓散を紹介します。

 

ツムラ五苓散エキス顆粒

   

 

・10包(5日分)希望小売価格1,800円+消費税
大人(15歳以上)1日当たり180円+税

・48包(24日分)希望小売価格4,300円+消費税
大人(15歳以上)1日当たり179.16円+税

 

「クラシエ」漢方五苓散エキス顆粒

・12包(4日分)希望小売価格1,400円+消費税
大人(15歳以上)1日当たり350円+消費税

・45包(15日分)希望小売価格4,800円+消費税
大人(15歳以上)1日当たり320円+消費税

 

クラシエ五苓散錠

・180錠(15日分)希望小売価格4,800円+消費税
大人(15歳以上)1日当たり320円+消費税

 

テイラック(小林製薬)

・24錠(2日分)希望小売価格1,000円+消費税
大人(15歳以上)1日当たり500円+消費税

 

アルピタン(小林製薬)

・6包(2日分)希望小売価格1,000円+消費税
大人(15歳以上)1日当たり500円+消費税

・12包(4日分)希望小売価格1,800円+消費税
大人(15歳以上)1日当たり450円+消費税

 

和漢箋ギアガード(ロート製薬)

・24錠(2日分)希望小売価格1,300円+消費税
大人(15歳以上)1日当たり650円+消費税

 

まとめ

漢方は、むくみという症状だけではなく、体質やそのほかの症状も考慮して選びます。

五苓散を使用するうえで注意したいことは、水様性の下痢症状があるけれど、便が臭い場合は服用してはいけません。

安心なイメージのある漢方ですが、副作用もあることを知っておきましょう。

漢方では思うようにむくみが解消できないという場合には、むくみに有効な利尿薬を試してみて下さい。口コミで高評価の利尿薬ハイレスの紹介記事はこちら

 

 

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